今や日本を代表するアーティストとなった米津玄師さんが「ハチ」名義で制作した人気曲『砂の惑星』
砂漠を舞台にしたMVも芸術的で人気の要因となっていますが、果たして本作に込められた想いとは一体何なのか。
歌詞の内容をじっくり考察していきましょう。
目次
砂の惑星
「ハチ」としては、『ドーナツホール』以来、約3年9ヶ月ぶりのボカロオリジナル曲
初音ミクを使用した楽曲としては『Christmas Morgue』以来6年7ヶ月ぶりとなっており、瞬く間に再生数を伸ばしました。
『初音ミク「マジカルミライ 2017」OFFICIAL ALBUM』のテーマソングとして制作され、動画公開から5時間27分という驚異的なスピードで殿堂入り(動画再生数10万回超え)を記録。
その後も順調に再生数を伸ばしつづけ、何と1週間足らずで100万回超えを記録するなど、まさに“超人気曲”と言える記録を日々更新中です。
ちなみに本曲は、米津玄師さんの4thアルバム『BOOTLEG』に本人歌唱バージョンが収録されており、初音ミクはコーラスで参加しています。
砂の惑星はイントロにも意味が込められている。
本曲はイントロの段階で既に米津さんからのメッセージとも取れる内容が含まれているのです。
ガヤガヤしているだけのように聞こえる冒頭部分ですが、よく耳をすますと
「Back to the history and remember when I was born」
と言っていることが分かります。
この歌詞を訳すと「私の過去に戻って、私が誕生した時を思い出して。」という意味になるのですが、これは米津さんからの“ボカロ”への警鐘と取れるのではないでしょうか。
ボカロというコンテンツが肥大化し続け、一大コンテンツとなった今、改めて原点を見返してみようよ。という彼なりの愛情が見え隠れしています。
MVとインタビューから分かる“砂漠”が持つメッセージ
本作のMVでは終始ミクと18人の面相たちが砂漠の中を彷徨う内容となっていますが、この砂漠について米津さんは意味を語っているのです。
インタビュー内で米津さんは「ニコニコ動画=砂漠」と揶揄しており、刻々と衰退していくニコニコ動画を非難しているような、寂しいような感情を語っています。
全盛期に比べて投稿数が少なくなり、視聴人数も減少する一方。ボカロに目を向けても似通ったような曲が多いニコニコ動画の現状を彼は“砂漠“つまり、何もなく退屈な状態だと表現したのでしょう。
次に気になるのが、18人の面相です。
これはハチとして手がけた楽曲(18曲)+ハチさん自身と考えていいでしょう。面相たちがギターなどの楽器を背負っていることからも間違いないです。
最後に映し出されるケーキとロウソクの意味
MVで最後に映し出される18個のロウソク。
何気ないシーンですが、これにもシリアスな意味が含まれていることに気付いたでしょうか。
MVの最後に、ハチさんは砂漠の外側へと向かって去っていきます。
18個のロウソク=ハチさんが手がけた18曲と解釈するのが妥当でしょう。
しかし、そこにハチさん自身の数は含まれていません。
つまり、「自分はニコニコ・ボカロ界隈から姿を消すが、今まで作った曲たちは永遠に残り続ける。」というメッセージなのではないでしょうか。
ロウソクの火を消すという行為から「過去のボカロ曲は一旦忘れ、新しい時代を築いていこう。」という米津さんなりの決意表明も感じられます。
『砂の惑星』となったニコニコ動画に対する警鐘
本曲で米津さんが訴えていることはとてもシンプル
「ニコニコよ。俺はいなくなるけど応援してるぞ」というメッセージなのです。
衰退という現状
前述したように「砂場=ニコニコ動画」と考えてください。
似たような動画や楽曲で溢れた現状を“しょうもない”と一蹴しています。さらに今のままでは草も生えない不毛な場所で終わるとも言っていますね・・・
「すり減る運命」とはそのまま「ニコニコ動画が歩む危ない未来」のことでしょう。
さらに、このままだと星の周りを彷徨う衛星のように、いつかは墜落して終わるぞ。とも言っています。
自由がウリだったはずのニコニコ動画なのに、今となっては規制が厳しくなり、才能あるクリエイターは去っていくばかりです。
この現実を受け入れようとせず、何もしないと滅んでしまうぞと訴えているのが分かります。
『砂の惑星』のまま滅んで欲しくない。という意味が込められた歌詞
ただニコニコ動画を批判するだけの楽曲で終わらないのが米津玄師たる所以です。
彼は本楽曲に、きちんとした前向きなメッセージを込めています。それは彼なりの優しさであり、ある種の“最終通達”とも言えるでしょう。
ハチ(米津玄師)の願い
のらりくらり歩き回り たどり着いた祈り
君が今も生きてるなら 応えてくれ僕に
ボカロPとして人気を博したハチとしての人格が本当に思っていることが、この部分に凝縮されています。
君(ニコニコを支えている人達)に対して、「応えてくれ」と懇願していることから、「どうかこのままで終わらずに、もう一度ニコニコ動画を繁栄させてくれ」という本音が垣間見えますね。
サンゴーズダウンは英語で書くと“The Sun Goes Doen”となります。
直訳すると「太陽が落ちる」の意
輝きを失い切ってしまったニコニコ動画が元通りになる。つまり再び盛り上がる日までバイバイすると表明しているのです。
「思いついたら歩いていけ」という歌詞からは、例え砂漠の中でも諦めずに進んでくれという応援ともとれる感情が読み取れます。
これは恐らく運営に向けたメッセージでしょう。
「僕はまたニコニコが盛り上がる時が来るのを信じている。だから現状が砂漠でも諦めずに改善を目指してくれ。」
厳しくも優しい彼の性格が見え隠れするような感覚になりますね。
初音ミクが作った歴史。そしてこれからのボカロ界
ふと思い出したように誕生日を示唆する内容。これは初音ミクが誕生してから10周年を祝おうという意味でしょう。
しかし、砂漠となった場所で心から祝福をあげることなんてできません。
「甘ったるいだけのケーキを囲んで歌を歌う」
全盛期の想い出に浸りながら、過去の楽曲にすがりついているボカロ界隈の現状を痛烈に皮肉っています。
いま存在する初音ミクの楽曲たちは、ryo氏による不朽の名曲『メルト』があってこそです。
「メルトショックにて生まれた生命=メルトに触発されて生み出された楽曲」と捉えるのが自然でしょう。
そんな“メルトショック”の時代はもう終わったのです。ここを出て、新しい時代に乗り遅れないようにしようぜ。
米津さんは常に未来を剥き続けているのです。
自分は身を引く
ラストのサビで再び登場する「バイバイ」というセリフ。
ハチとしての活動はこの曲で最後になるという強い意志を感じぜずにはいられません。
自分はもう「米津玄師」として活動していくのだと。過去は振り返らないという確固たる決意表明と言って良いでしょう。
「もう少しだけ友達でいようぜ今回は」
衰退が激しいニコニコ動画ですが、『砂の惑星』という楽曲を通して繋がっていたいという気持ちは持っているんです。
風が吹き曝しなお進む砂の惑星さ
誰がどう見ても「厳しい」としか言えないニコニコ動画の現在地。そこには風が吹き荒れ、大地は荒んでいます。
それでも逃げちゃいけない。諦めずに進み続けてくれという米津玄師、いや“ハチ”としての励ましが本曲には込められているのです。
まとめ
ニコニコ動画自体を題材にした楽曲をオフシャルで制作するあたりに米津玄師という男の凄さ・本気度を感じてしまいます。
ただの皮肉で終わるだけの曲ならごまんと存在する現代。批判だけでなく今後の応援も兼ねている『砂の惑星』はニコニコ動画ユーザー、運営に響く内容となっていました。
いや、ニコニコ動画だけではありません。
いま繁栄しているコンテンツ全てに対しての警鐘歌とも取れるメッセージ性の高い珠玉の一曲と言えるでしょう。
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