歌ってみたやカバー動画を作りたい!
そんな勢いで機材を揃えて録音ができるようになったものの、最初に立ちはだかる壁がボーカルMIX。
歌がなじまなかったり、浮いてしまったり・・・・・・・難しい。。。
今回は『ボーカルMIX』がうまく出来ないと悩んでいるあなたの為に…
プロのエンジニアがいつも行っている手順を解説していきたいと思います!
初心者から〜上級者までオススメの記事に仕上がっています!
目次
ボーカルMIXで大切な事とは?
ボーカルMIXはひとつひとつの細かい調整の積み重ねである
最近ですと、AIが自動で最適な処理を行ってくれるプラグインも出てきています。
ボタンひとつでEQやコンプ、空間系の処理まで行ってくれるのでとても便利ですよね!
ですが、歌い手によって声質も違えば、録音環境もひとそれぞれ、、、
残念ながら、どんなボーカルでも、イメージ通りの処理をAIが行ってくれるわけではありません、、、
最適なボーカルMIXを行うためには、それぞれの歌い手に合わせて、いくつもの細かい調整を積み重ねることが必要になります。
ボーカルをなじませるにはリバーブをたくさんかければ良いわけじゃない
よくある初心者にありがちなMIXで、オケになじませようとした結果、、、
お風呂場みたいなリバーブになったりしたことはありませんか?
もちろん、リバーブやディレイなどはmixにおいて必要不可欠なエフェクトです。
ですが、そういった空間系の処理に頼る前に、ボーカルトラックの補正をしっかりと済ませておくことがとても大切なんです!
ボーカルをなじませるためはオケに寄り添った調整が必要
ボーカルトラックの調整を頑張った結果、、、ソロで聴くといい感じなのに、オケの中だと埋もれてしまう、、、
逆に、ボーカルが浮いてしまってオケになじまなくて難しい、、、なんてことありませんか?
歌ってみたの場合、MIXがすでに完成しているオケに対して、ボーカルを寄り添わせる作業になります。
ですので、ボーカルの質感を優先してMIXを行ってしまうと、カラオケは派手なのに、ボーカルがこもっている、、、
落ち着いた雰囲気のカラオケなのに、ボーカルはEQでドンシャリ、コンプで圧縮しすぎて浮いてしまう、、、
といったちぐはくなミックスになりがちなんです。
ボーカルMIXの手順
それでは実際にボーカルMIXの手順を解説しましょう!
DAWとオーディオファイルのテンポ(BPM)を合わせる
まず、MIXを始める前にDAWとオーディオファイルのテンポ(BPM)を合わせておきます。
テンポを合わせておく、主な理由としては
- ディレイなどのエフェクトを楽曲のテンポに合わせるため
- ボーカルのタイミング補正をしやすくするため
などが挙げられます。
では、楽曲のテンポはどのように調べれば良いでしょうか?
主に
- タップテンポアプリを使う
- DAWに付属しているBPM検出機能を使う
の2つがあります。
タップテンポアプリは、曲を聞きながらタップするだけでだいたいのテンポが見つけられます。
あと、DAWによっては標準でテンポを検出してくれる機能もついていたりもします。
例えば、LogicProだと「BPM Counter」を使えば、自動でテンポを検出してくれるので便利ですよね!
タイミング補正
テンポが合わせられたら、次はタイミング補正です。
タイミング補正って、DAWのグリッドに合わせればいいだけだから簡単そうって思われがちですが、、、実はそれだけだと駄目なんです!
もちろん、タイミング補正は、カラオケとズレているボーカルを修正する作業です。
ですが、もっと大切なのはボーカルとカラオケのグルーブを合わせること!
音楽には、前のり、後のり、ハネやシャッフルなど、さまざまなグルーブがあります。
DAWのグリッドを基準にしつつも、歌い方によって少しずらしたほうが気持ちいい場合もあります。
逆にエレクトロ系の楽曲はリズム補正をバチバチに合わせた方がカッコよかったりもします。
とはいえ、いきなりグルーブと言われても難しいですよね、、、
そんなときは、頭の中で一緒に歌いながらタイミング補正をしてみると、自然なノリを見つけやすいのでおすすめです。
あとは、普段から歌だけではなく各楽器がどういったノリで演奏をしているのか、意識して聞く習慣をつけるようにしてみてください。
そうすれば、ただリズムが合っているだけではない、躍動感のあるタイミング補正が出来るようになってくると思いますよ!
要チェック
MIXしているときはいい感じだったのに、スマホで聴くとボーカルのリズムがズレて聴こえるといったことはありませんか?
それってもしかすると、モニター環境の低音が多すぎるのかも、、、
低音が多すぎるモニターでタイミング補正を行うと、楽曲の細かいノリが聴き取りづらく、タイミング補正が甘くなりがち。
僕は、タイミング補正にはYAMAHA HPH-MT8というヘッドフォンを使っています。
低音のスッキリしたヘッドフォンなので、タイミング補正やノイズ除去がとてもやりやすいです!
また、SONY MDR-CD900STもエディット作業におすすめです。
ノイズ除去
タイミング補正と合わせて済ませておきたいのがノイズ除去です。
ノイズって、録音のときは気づきにくいのですが、コンプなどで音圧を上げていくと、とても目立ってしまうんです、、、
最近は、ノイズの少ない綺麗な音源を求められることが多いので、ここでしっかりとノイズを取り除いておくことが大切!
ノイズ除去の方法のひとつとしてiZotope RXというリペアツールがあります。
ノイズの種類に合わせたツールを使えば簡単に除去出来るプラグインなのでとても便利です。
要チェック
ただ、リペアツールの使いすぎは音質劣化の原因にもなってしまいます。
特にボーカルトラックにまるごとプラグインをかけると余計なノイズが発生することも、、、
可能なかぎりDAW付属のペンツールで、ひとつづつ波形を修正するほうが音質劣化も少なく仕上がりが良くなります!
タイミング補正とノイズ除去が終わると、このくらい細かい波形編集になっています。
補正前
補正後
とても地道な作業ですが、こういった細やかな作業を積み重ねることが良いボーカルMIXへの一歩なのです!
ピッチ補正
タイミング補正とノイズ除去が出来たら、次はピッチ補正です。
ピッチ補正って下手な歌をごまかすってイメージありませんか、、、?
もちろん、ピッチ補正には音の外れた歌を修正するという目的もあります。
ですが、もっと大切なのは、カラオケにボーカルを寄り添わせることなんです!
ボカロ曲などの場合、パソコンで作成された、いわゆる打ち込み音源を使われていることが多いです。
打ち込み音源って、生楽器と違ってかなり正確な音程で演奏されていることがほとんどです。
そうすると、正確な音程のカラオケに対して、ボーカルの音程が少しズレるだけで、浮いて聴こえてしまう原因になったりします。
そうならないように、カラオケのピッチ感に寄り添わせるように、ボーカルを補正していく必要があります。
曲のキー(調)を探す
ピッチ補正を始める前に、曲のキー(調)を見つけておきましょう。
カラオケにいくと、リモコンの+ーを押して、自分の歌いやすい音域に曲を調整しますよね。
それが曲のキーです。
楽曲のキーを先に見つけておくと、メロディで使われている音がすぐに分かるので、迷いなくピッチ補正ができるようになります。
ある程度、音感のある人であれば、曲を流しながら鍵盤を弾くだけで、すぐにキーを見つけられます。
でも、いきなり鍵盤を弾いて探してねって言われても難しいですよね、、、
そんなときは、自動でキーを検出してくれるAntares Auto-Keyという便利なプラグインがあります!
ちなみに、このあと紹介するAutotune Proを購入すると無料で付属しています。
ピッチ補正ソフト
曲のキーが分かったら、ピッチ補正を行います。
定番のプラグインは、MelodyneとAutotune Proです。
どちらも優れたピッチ補正ソフトですが、それぞれメリット、デメリットがあります。
Melodyne
- カーソルで音程を移動して、補正の度合いを調節するだけなので初心者でも扱いやすい
- 音程を一括で編集出来るので、主メロからハモを作成するのに便利
- ピッチを編集の自由度が低いため、ビブラートやシャクリなどのニュアンスの調整には向いていない
- 音程と音程の変わり目が不自然になりやすく「補正感」が強くなることもある
Autotune Pro
- ピッチをペンツールで自由自在に書くことが出来るので、ボーカルのニュアンスを生かした補正が出来る
- ピッチを書いたときの「補正感」が少ない
- 操作方法が難しいので、初心者には扱いが難しい
出来るだけクオリティーの高いボーカルトラックを作りたい方はAutotune Proをおすすめします。
僕も、基本的にボーカル補正はAutotune Proしか使っていません!
ちなみに、どちらのプラグインもキー(調)の設定をすると、楽曲で使われている音程がひと目で分かるグリッドが表示されます。
Autotune Pro
Melodyne
要チェック
MIXが完成した後、スマホで聞いてみるとピッチが悪く聞こえる、、、なんてことありませんか?
そんなときは、このようなモニター環境になっていないか見直してみましょう。
- モニタースピーカーの低音が多すぎる
- モニター音量が大きすぎる
- ヘッドフォンでピッチ補正をしている
モニターの低音が多かったり、音量が大きすぎると、ボーカルの細かいピッチの揺れが聞き取りづらくなってしまいます。
あと、ヘッドフォンは経験上、ピッチが甘くなることが多い印象です。
録音のときも、ヘッドフォンだけでボーカルテイクの良し悪しを判断せず、スピーカーでも聴くようにしましょう!
ハモリの生成
メインボーカルが完成したら、次はハモリです。
ハモリを入れることで歌の厚みが増したり、サビで歌の広がりを出したりと、ボーカルに表現の幅をつけられるようになります。
ですが、歌ってみたの場合、メインボーカルしかデータがないこともあります。
その場合は、Melodyneを使ってハモリを生成します。
3度上や、3度下など曲のキー(調)をもとに手作業で生成していくので、どうしても音楽理論の知識が必要になってきます。
もし、音感や音楽理論の知識に自信がない場合は、少し機械的な質感にはなりますが、iZotope Nectar3にハモリを自動生成してくれる機能がついています。
ボーカルの音質調整
ここまで下準備がしっかりと出来たら、いよいよここから本格的なMIX作業に入ります。
ボーカルMIXで使う基本的なプラグインには、EQ、コンプ、ディエッサーなどがありますね。
- EQは、声の明るさ、太さなど音色の調整
- コンプは、大きい音を抑えて音量のバラツキを整える
- ディエッサーは、耳障りな高域の歯擦音を抑える
といった役割があります。
でも、それぞれの使い方はなんとなく分かっても、
実際、どのくらいコンプをかければよいのか、、、
EQで高域を上げてみたけど、上げ過ぎてないかな、、、
など、基準がよくわからなくて難しいですよね。
プロのエンジニアであれば、どのくらい調整するのが適正なのか把握出来ているので迷うことが少ないです。
ですが、初心者の場合、目指す基準があいまいなままプラグインを触り始めるとだいたい迷走します、、、
そうならないため、初心者のうちはプラグインをあれこれいじる前に
ポイント
- 参考音源を用意する
- VUメーターを使う
- おおまかなボーカルとカラオケのバランスをとっておく
を行っておくとプラグインを調整するときに迷いが少なくなります!
参考音源の用意
それでは、手順を見て行きましょう。
①参考音源を用意する
まずは、MIXの参考にする音源をDAWに取り込みます。
歌ってみたのMIXの場合、他の人が歌っている同じ曲の音源を用意すると比較がしやすいです。
②VUメーターを用意する
次に、参考音源とMIX時の音量合わせるためのVUメーターを
マスタートラックに挿しましょう。
mvMeter2というメータプラグインが無料なのでおすすめ!
③参考音源の音量を合わせる
参考音源を再生し、サビあたりでVUメーターが0VUになるように参考音源の音量を調整しましょう。
④MIXするデータの音量を合わせる
次は、MIXで使うカラオケとボーカルを再生し、サビあたりでVUメーターが0VUになるように音量を調整します。
カラオケとボーカルのバランスに迷ったときは
ポイント
- カラオケだけ再生したときに-3VU
- カラオケとボーカルを同時に再生したときに0VU
くらいを目安にしておくと良いです。
これで、参考音源とMIXデータの音量を合わせられました。
それぞれの音量を合わせておくことで、正しく比較できるようになり、しっかりと基準を持ってMIXが出来るようになります。
コンプ
まだ、この時点ではボーカルが聞こえづらい箇所があると思いますので、コンプを使って音量のばらつきを整えましょう。
もし、サビとAメロなどでボーカルの音量が大きく違う場合は、トラックを分けて個別に調整すると良いと思います。
コンプのかけ具合は、一番大きくメーターが振れるところでも
ゲインリダクションが-3〜-5dbくらいに収まるように調整しておくと、不自然になりにくいです。
要チェック
コンプをかけると、大きい音が抑えられるので、ボーカルの全体音量が下がったように聞こえます。
マスタートラックのVUメーターを見ながら、コンプをかける前と同じ音量になるようにアウトプットゲインを調整しましょう!
プラグインを使う前と音量を同じにしておくことで、コンプを掛けたときの音質の変化を正しく聞き分けられるようになります。
EQ
ある程度、コンプで音量のばらつきが整ったら、EQを使ってボーカルの音色を調整していきましょう。
参考音源と比較して、ボーカルトラックがどのような音質にしたいか、しっかりイメージしておくことが大切です!
EQの周波数ポイントごとにイメージをまとめておきましたので、参考にしてみてください。
100Hz~200Hz
- 声の量感、重みをだしたい場合にブーストする
- 女性ボーカルの場合はこの辺りをカットするとスッキリする
200Hz~600Hz
- 声が細いと感じた場合にブーストする
- こもっているように感じる場合は少しカットする
600Hz~1kHz
- 存在感が薄いと感じる場合は少しブーストする
1kHz~3kHz
- カラオケに埋もれるように感じた場合は少しブーストする
3kHz~16kHz
- キラッとした印象を出したい場合はブーストする
ディエッサー
ディエッサーは、耳障りな高域の歯擦音を抑えることが出来ます。
かけすぎると、ボーカルがこもる原因にもなりますので気をつけましょう!
ディレイ・リバーブで広がりや奥行きを加える
ボーカルの音質調整が出来たら、リバーブやディレイをかけていきます。
でも、リバーブとかディレイってパラメーターが多すぎて難しいですよね、、、
そこで、初心者におすすめなのが「リバーブタイム」と「プリディレイ」を曲のテンポ(BPM)と同期させることです。
手順はとても簡単で「Delay Calculator」という計算機に曲のテンポ(BPM)を入力するだけです。
Delay & Reverb Time Calculator
あとは「リバーブタイム」と「プリディレイ」に値を入力するだけです。
このテクニックを使うことで、音の濁りをなくし、タイトなサウンドに仕上げることが出来るようになります。
お風呂場のようなリバーブになりがちな人はぜひ試してみてください!
ボーカルのボリュームオートメーションを書く
ここから更にボーカルの音量を細かく調整していきます。
日本語は一文字聞こえないだけで、まったく意味が変わってしまうことがあります。
どんな環境で再生してもしっかり言葉が聴き取れるように、一言一言ていねいにボリュームを書いていきましょう!
ただ、音量を揃えるだけでなく、カラオケの盛り上がりに寄り添うように意識してオートメーションを書いていくのが大切です!
マスタートラックで最終的なレベルの調整
最後は、マスタリング作業です。
ここで最終的な音圧を決めていきます。
歌ってみたのMIXの場合、出来るだけ音圧を入れておくことが好まれます。
ただ、最近のメジャー作品は、あまり音圧を入れすぎない仕上がりを求められることもあります。
作品の方向性に応じて、臨機応変に対応するようにしましょう!
もしマスタリングプラグインで迷ったときはiZotope Ozoneがおすすめです。
これだけで、マスタリングに必要なエフェクトがひととおり入っています!
ボーカルMIXってこんなに難しいんです。
ここまで丁寧に作業をしていくと、MIXにかかる時間は、早くて半日〜1日ほど、ボーカルトラックが多い場合は数日かかることもあります!
soundtreatmentでは歌い手の個性やニュアンスを大切にMIXしています。
少し高めの料金設定になってしまうのは、どうしてもこれだけの労力と時間がかかってしまうからなんです。。。
まとめ
今回は、ボーカルMIXの手順を手順の解説をしてみました。
もちろん、作業の順番やプラグインの使い方に決まりはありません。
今回の解説を参考に自分なりのMIXルーティーンを見つけてみてください!
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