DECO*27さんの神曲「ネガティブ進化論」にはどんな物語や意味が込められているのでしょうか。
「ネガティブ進化論」について徹底的に解釈していきます。
「ネガティブ進化論」とは
2019/12/20に公開されたDECO*27さんの2019年を締めくくるボカロ曲。
「ネガティブ進化論」は11人ものクリエイターたちが作り上げた作品です。
DECO*27さんが立ち上げたクリエイター集団OTORINOとポプラ社とのコラボ楽曲(MV)として描かれています。
「ネガティブ進化論」の元となる作品
"きみの存在を意識する"(著者：梨屋/アリエ)
DECO*27さんさんは、「ネガティブ進化論」について
「きみの存在を意識する」を読み感じたことを音に乗せていると自身のTwitterで発言していました。
ネガティブ進化論は、ポプラ社さんの書籍「きみの存在を意識する」を読んで感じたことを音にしてます。主人公たちの"ネガい"、ぜひ読んでみてください！ https://t.co/Nz8JKzeVJY
— DECO*27 (@DECO27) December 20, 2019
"きみの存在を意識する"あらすじ
ネガティブ進化論の元となっている小説のあらすじを先にご紹介します。
血のつながりのない同い年の姉は、
本を読むのが、深刻に苦手。様々な見えにくい困難を見えないことにしないだれか達の話
────
中学２年の石崎ひすいの担任は読書活動に熱心。読んだ冊数を班ごとに競わせるが、ひすいは本を読むのが非常に困難。１冊をなかなか読み切れず、肩身が狭くなる。
同じクラスの猪熊心桜は、提出した読書カードの字が下手で、担任に差し替えられる。国語の追試をパソコンで受けさせてほしいと「合理的配慮」を求める心桜を、担任は否定する。
また、読書記録はプライバシーなので開示したくない、とカードを提出しない入来理幹のことも担任は認めない。理幹は、男か女か区別を求められることにも疑問を感じている。
クラス委員賀川小晴の親友の尾木留美名は教室が臭いと言って別室登校を続けている。彼女は特定の臭いに過剰反応してしまう。辛さをぶつけてくる留美名に対応するストレスで、小晴の調子もくるいだす。
両親と死別し、養育里親の養子になった石崎拓真は、ある日、同い年の姉ひすいと同じ家で暮らしていることをからかわれて──出典：きみの存在を意識する
様々な見えにくい困難を抱える中学2年生が描かれています。
どうしたらいいか、彼らは葛藤し、何かを掴もうとします。
みんなが抱える様々な見えづらい問題を見えないままにしない彼らの姿が描かれています。
「主人公たちの"ネガい"」とは何でしょうか。
それでは「ネガティブ進化論」の歌詞解釈に移ります。
「ネガティブ進化論」歌詞解釈
他人からの好奇の目に蝕まれる
「ねえ一緒なんじゃない？」そんな言葉で個々が抱える様々な問題を一括りにされがちです。
本人にとっては、とても悩まされているネガティブな部分で
「一緒だみんな同じだ」という言葉で片付けないで欲しいという想いが伝わってきます。
"めんどくささと好奇心からの病みのバトル"
好奇心は自分自身のものではなく周りからの好奇の目なのではないでしょうか。
他人の好奇の目を面倒くさくて無視しても結局自分は傷ついて病んでしまう。
自分に向けられた“嫌い”という言葉にも涙が出るほど病んでしまいます。
秘密があるから無敵でいられる。
学校では自由なんてない。
本音や悩みがあってもどうせ誰にも伝わらないしバカにされるから言えません。
ですが、個人に隠された秘密があるから理解されないと悲しむことができます。
秘密を隠すことで誰からも自分の本音や悩みを否定されることはありません。
だから秘密があれば無敵なのではないでしょうか。
MVにいるパソコンを売っている少女は、小説にて文字が下手な猪熊心桜を描いているんじゃないかと推測できます。
死にたいは生きたいの裏返し
ボソッと言ってしまった「死んじゃおっか」の言葉も「生きたいの裏返し」です。
だから「いいよ」なんて答えて欲しい訳ではありません。
出てしまった言葉は本音ではないことを意味しています。
苦しいから昨日を呪い、嬉しいから明日をネガう。
自分の感情は自分だけのものであって共有はできません。
簡単に「分かる」なんて同意して欲しくないそんな想いが歌詞から伝わります。
そして"願う"の言葉にかけられた「ネガ(ティブ)」。
ネガティブは否定的。消極的。という意味です。
願うことに対して否定的な感情を持っているのではないでしょうか。
溢れ出す本音
「自分と一緒なんじゃない？」
そんな言葉を軽々しくいうが、どこが同じでどこが違うのかちゃんと説明して欲しい。
1番では同じだという言葉で誤魔化されていましたが
2番ではちゃんと説明して欲しいと少しづつ本音が漏れ出していることがわかります。
痛みに気付いてはくれず「見ていないフリをする」優しさ。
周りの人に向けた違和感を提示しています。
いじめを示唆している
"冗談の進化論"。
冗談っていえばどんな酷い言葉でも正当化されます。
冗談が進化したらきっと相手を気づつけるものとなり、正当化された暴力になりかねません。
冗談の進化は"いじめ"を示唆しているのでしょうか。
正しさで殴り合っても正解はない。
正しさの殴り合いの例でいうと"戦争"です。
戦争は、"自分が正しい相手が間違っている"という考えを押し付け合うことです。
結局意見の押し付け合いになってしまって、勝ち目なんか存在しません。
いじめや意見の押し付け合いについて歌詞では表現しています。
生きづらい世の中を意味していると解釈できます。
またMVでマスクをつけている少女がいますが、
元となった小説の教室を臭いと思っている匂いに敏感なクラス委員の尾木留美だと想定できます。
変わりたい理由
死んじゃおって そもそも生きているのか
死んじゃおうなんて言っている自分の心はもう死んでしまってる。
そんな自分は生きているのかと問いかけています。
自分を正当化させるために誰かを嫌いになって悪者にしても何も変わりません。
だから自分が変わるしかないから変わりたい想いだけは大事にしたいと言っています。
いじめを描いている
自分のことを「それだけ？」と笑うあなたも足りてないことばかり。
それなのに自分を棚に上げて人を否定して自分を肯定しようとする。
でもそんなあなたに向かって「やめて」とは言えません。
前の歌詞からいじめを示唆する言葉や「やめて」と言えない状況が描かれていることがわかります。
もしかすると「いじめられている」誰かがいるのではないでしょうか。
少女にとっての「ネガい」とは
生きたいと願えば願うほどに死にたいと思ってしまう。
そしてその先に本当の自分がいると言っています。
いつか私になる “愛したい”になる
"愛したい"になる。
これは愛せるようなヒトになるとも解釈できますが、分解すると別の意味になります。
「I (私は)死体になる。」
死にたいという想いが強くなってしまうことで、
全てから解放される命を断つが自分の理想だと言っているのでしょうか。
最後に「これは妄想じゃない」の言葉もありますが
現実になってしまうことが示唆しているとも考えられます。
少女にとっての「ネガい」とは本当はなんなのでしょうか...
最後に
歌詞解釈を進めていくと意味深な隠語が多数隠されていましたが、
初音ミクの機械的で透明感のある歌声によって歌詞がより印象的になりました。
是非また意味を考えながら聴いてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回はDECO*27さんの「ネガティブ進化論」を歌詞解釈させていただきました。
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